vol.13 25年の絆
「本当に見つかるのだろうか?
不安な気持ちを抱きながらフェリーの乗船口にたちました。
『25年前に生き別れた母親を探し出すこと」
手がかりは非常に少なく、当初から調査は困難なものになるだろうと予想されていました。
ご依頼者の真由美さん(30歳)は 5歳のときに両親の離婚によって父親に引き取られ、母親との関係を一切絶たれてしまいました。
「どうしても 実のお母さんに会いたい」強いお気持ちで私共の事務所を尋ねてこられたのです。
しかし25年前からの手がかりはほとんどなく、当時の写真のみを頼りに ようやくたどり着いたのが離島の小さな漁村だったのです。
「奥さん 観光ですか?」
露店でサザエを売るおばさんが話しかけてきました。
「まあ そんなもんです。○○って地区に行きたいんですけど あとどのくらい歩きますか?」
私の問いかけにおばさんは「さあ 10分くらいかね」と答えて下さいました。
そして○○地区にて聞き込みに歩き回ったところ、私が探しているご依頼者のお母さんはもうひとつ隣の△△地区で暮らしていることが判りました。
「そこのおばさんなら 渡船場のそばでサザエを売ってるよ。」
そうです 先程話をした女性こそ ご依頼者の探してる母親だったのです。
フェリー乗り場に戻った私に おばさんは再び話しかけてきました。
「この島どうでした。いいところでしょ。 なんか馴れ馴れしく話しをしちゃってごめんなさいね。 いや 私にもあなたと同じくらいの娘がいてね 昔、生き別れてしまったんだけど、まさか 私のことを追ってこの島に来てくれはしないかと心の中で待ってるんですよ実は・・・もう25年間もここでサザエを売りながらずっとね。」
私は 2人の再会のシーンを心に思い浮かべながら 帰路を急ぎました。
《 朱雀大路貴美香 》
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